東京のモデルは地方のモデルにならない
文化庁委託事業「鑑賞支援サービス地域スモールモデル構築事業」のWeb版報告書が完成しました。
舞台芸術における鑑賞支援——字幕や音声ガイドといった取り組みは、東京では少しずつ広がってきました。でも全国を見渡すと、まだまだ実施している劇場は限られています。そしてここに、見落とされがちな問題があります。東京で作られたモデルは地方のモデルにはならない、ということです。
規模も予算も人員も違う。東京の劇場が「こうやればできる」と示したものが、そのまま地方劇場の答えにはなりません。全国的な底上げを目指すなら、地方劇場が自分たちのやり方で取り組んでいける仕組みを、地方の現場から作っていく必要がある。そう思って令和5年度からスタートしたのがこの事業です。
この事業の特徴は、私が伴走しながら、地方劇場と一緒に小さな導入モデルを作っていくところです。大事にしているのは、私が去った後も続けられること。自分たちで考えて、地域ならではの形に発展させていく力を残していくこと。それがこの事業の核心です。
これまで東北エリアの劇場と取り組みを重ね、2年前からは広島県の事業予算でも並行してスタートしました。自治体が独自の予算でこうした取り組みを始めてくれることは、普及の速度を大きく変えます。行政のみなさんにも、ぜひこの報告書を読んでいただきたいと思っています。
今年度は特別な機会もありました。これまで関わってきた東北エリアの劇場が一堂に会して、合同振り返り会を実施できたのです。支援プログラムがすでに終了している荘銀タクト鶴岡やいわき芸術文化交流館アリオスにも参加いただき、その後の取り組みを共有してもらえたことは、この事業にとってとても意義深い時間でした。
そして今年度は新たに松本市の劇場とも連携しました。鑑賞支援サービスをはじめる、続ける、日常へと発展させていく——そのプロセスで役立つユニークな実践が、報告書に記されています。
読んでいただけると嬉しいです。
過去の報告書はこちらからご覧いただけます。



