採択の先にあるもの──劇場をつなぎ直す
令和8年度「障害者等による文化芸術活動推進事業」の採択通知をいただきました。国の予算成立の遅れから例年より通知が遅くなりましたが、無事に採択いただき、ほっとしています。
取り組みが評価されたのは、事業開始のきっかけをつくり自走を促すという考え方、そして地域格差と地域人材育成の課題に着目した点です。鑑賞支援サービスと人材育成をつなぐ設計も、引き続き評価していただきました。
今年度は、昨年度からの継続であるまつもと市民芸術館に加え、新たに長野県県民文化会館と北九州芸術劇場とご一緒します。長野県では一般財団法人長野県文化振興事業団との連携により、松本文化会館や伊那文化会館への広がりも期待しています。
今年度のプログラムで特に力を入れるのが、「意識の問題」への向き合い方です。鑑賞支援に取り組む劇場の中には、「障害者のために」という発想から事業を設計するあまり、健常者と障害者の鑑賞機会が分離されてしまうケースがあります。予算や人員が豊かな劇場ほど、かえってこの構造に陥りやすいことがあります。
今年度はまず劇場職員へのヒアリングから始め、「本来求められている役割は何か」「理想の劇場像」「現状とのギャップ」を一緒に問い直します。この対話のプロセスそのものが、インクルーシブな公共空間としての劇場という本質への立ち返りになると考えています。
